研究課題の設定

 

フレキシブルディスプレイは、携帯・設置・意匠の自由度を拡大するため、次世代ディスプレイの最有力候補として期待されています。しかし、それに必要な材料・デバイス・応用システムはまだ確立されてはいません。柔軟性と高画質特性を備えて実用的なフレキシブルディスプレイを実現するためには、既存のフラットパネルディスプレイにはない独自技術を開発する必要があります。すなわち、フレキシブルエレクトロニクスを構築しなければなりません。

 

バッグ

挑戦こそ、研究精神の心髄

 

本研究室では、液晶・高分子・ジェル・有機半導体などのソフトマターの物性解明と機能開拓をベースとして、そこから得られる知見を光工学、電子工学、画像技術に組み込んで、実社会のヒューマンインタフェースとして役立てていきます。

ここでは、フレキシブルエレクトロニクスを基軸として、ディスプレイ分野、スマートデバイス分野、作製技術分野の3方向に用途を展開しています。これらの取り組みにより得られる知見を総動員することで、本研究室の掲げるビジョンの実現を図っていきます。

 

研究テーマから具体的課題へのブレークダウン

 

本研究室の特徴は、ミクロな材料開拓からマクロなシステム開発まで、一貫した研究を進めることです。すなわち、材料・デバイス構造・作製工程の開拓から、実用化に欠かせない周辺技術(偏光板、光学補償、光拡散板、バックライト、電圧駆動素子など)や応用システムの開発、さらには視覚効果の解明まで、広範囲に及ぶ研究を遂行しています。

また、視認性が高く省電力な反射表示や、自然で疲労がない立体表示を実現するための基盤研究にも取り組んでいます。さらに生活の利便性を高めるため、表示分野に止まらず撮像・照明分野にまで研究テーマが拡がっています。そうした機能性デバイスを実現するために、新たな作製プロセスの開拓も欠かせません。

 

青葉山キャンパス

研究期間では成果の乏しく耐える冬もあります

 

その一方で、映像メディア研究の方向性として、以下のような次世代ディスプレイが望まれています。いずれも人間工学に基づき、人と情報の距離を狭めるためのアプローチです。これらの開発を進展させることで、新しい用途や情報サービスが次々と提案・創出される可能性があります。

@ 高臨場感の追求

    高精細化により解像度の限界追求  4K → 8K

    大画面化による観視画角の拡大 30 ° → 100°(100インチ以上)

A 利便性・機能性を求めた形態進化(ユビキタス化、アンビエント化・・・)

     超軽量化/超薄型化、 フレキシブル/ストレッチャブル化

    透明パネル/省電力反射表示など

B 究極の立体ディスプレイ

    疲労のない空間像再生表示:電子ホログラフィ、インテグラル立体など

本研究室では上記の観点も組み入れながら、社会的課題のブレークスルーやパラダイムシフトとなるように、ソフトマターを用いた先進技術の創出に取り組んでいきます。

 

工事露出青葉山層

電子システム・応物系の学生実験棟工事で露出した青葉山層

(新生代第四紀の火山灰がさびてできたシルト/ローム層)

難題に立ち向かう時は、しっかりした基盤が必要