電子ホログラフィのシミュレーション

 

 ホログラフィは光の干渉・回折効果により、3次元像の光の波面を記録・再現する技術です。3次元像を再生するもととなる干渉縞パターンは、ホログラムと呼ばれます。二次元の干渉縞パターンで再生された3次元像は、従来の両眼視差方式の立体表示と異なり、観察者の目の焦点が眼球の交差位置に一致するため、疲労のない自然な立体視となります。また、あらゆる角度からの画像情報も含まれるため、理想的な立体表示と言われます。

さらに、干渉縞を超高精細な液晶ディスプレイに表示して、電気的に書き替え可能な2次元空間光位相変調素子として用いれば、3次元像の立体動画が得られます。この場合、位相変調方式を採用することにより、直進光や高次回折光がなく(回折効率100%)、すべての入射光を無駄なく表示に使用できます。そのため、このような電子ホログラフィック立体ディスプレイは、大画面・高解像度の2次元ディスプレイ(スーパーハイビジョンなど)の後を担う次世代メディアの基盤技術として注目されています。

3次元像の波面を生成するためには、光の回折により3次元像が得られるように干渉縞の複素振幅(振幅と位相)を求めます。ホログラムの複素振幅分布は、光の平面波伝搬(角スペクトル法)により求めた3次元像からの光と、参照光を干渉させることにより計算できます。光の伝搬は可逆的であるため、算出された干渉縞を位相変調素子に出力して光を入射すれば、3次元像を再現できます。

本研究室では、広い範囲で再生像が観察可能な電子ホログラフィックディスプレイを実現するため、干渉縞用の位相変調素子の画素を微細化するための基盤技術を研究しています。さらに、高品質な立体像再生を可能とする電子ホログラフィックディスプレイのシステム設計を進めています。

 

光伝搬計算による

干渉縞パターン(ホログラム)の作製

 

 

ホログラムの位相分布

 (一部を拡大)

 

----inputINT

TOHOKU2048[1.000000[m]]_Reconstructed_Image_small

(a) 元画像

(b) 再生像

ホログラフィ像の再生シミュレーション