バイオ・医工学コース

人にやさしく、
かつ高精度な診断・治療技術の実現を目指す

Biomedical Engineering
バイオ・医工学コース

電気・電子工学の基盤について学ぶとともに、複雑な生体システムを科学的に計測・解析して制御するための方法論を身に付け、健康維持や医療への応用を目指します。

現在、我が国では本格的な高齢化社会を迎え、世界的には新たな疾病が発生するなど、医療診断・治療技術に対する需要がますます高まっています。電気・通信・電子・情報工学は、現在の医療診断・治療システムの基盤を成す重要な分野であり、さらに、これらを生体に適用するためには様々なノウハウが必要です。

バイオ・医工学コースでは、電気・電子工学の基盤について学ぶとともに、複雑な生体システムを科学的に計測・解析して制御するための方法論を身に付け、健康維持や医療への応用を目指します。

人体がしばしば内的な宇宙に例えられるように、生体システムには未だ解明されていないことが沢山あります。バイオ・医工学コースでは、それらの現象を解明するための高精度で高性能の生体計測・制御法の研究開発に挑戦することで、さまざまな病気に対する革新的な診断法や治療法を生み出すばかりでなく、未知の生体現象に遭遇できるかもしれません。

Pick Up

ここに注目!!

「将来は人の命にかかわる仕事につきたい」と考えている方も多いと思います。医学・医療に貢献する方法として最もイメージしやすいのは医師などの医療従事者になる道ですが、医学・医療に貢献する方法はそれだけではありません。工学の分野から医学・医療に貢献する、それも医学・医療を進歩発展させることに貢献することを研究する分野、それが“ 医工学”です。あなたが開発した医療機器によってこれまで救えなかった数万人、数十万人の世界の人の命が救えるようになるかもしれない、そういった可能性を持つのが医工学です。

東北大学には、大正14年の電気聴診器の開発に始まり現在にいたるまで日本における医工学研究を先導してきた伝統があり、2008年には日本で最初の大学院医工学研究科が東北大学に誕生しました。本コースの多くの方は、医工学研究科に進学します。

これからの高齢社会において医療・福祉システムの開発はますます重要性が増しており、その開発を担う研究者・技術者の必要性も高まっています。本コース修了者は、その中核となって社会で活躍することが望まれています。

研究キーワード

  • 医工学
  • がん治療
  • 生体診断
  • 医用超音波
  • 医用レーザ
  • プラズマ治療
  • 健康診断チップ
  • 人工心臓
  • 人工細胞膜
  • バーチャルリアリティ
  • リハビリテーション
  • 医用生体材料
  • ゲノム解析

Introduction of laboratory

学生による研究室紹介

LABORATORY01

光ファイバを用いた
レーザ治療・診断装置を開発する

K.Yさん
K.Y さん 大学院工学研究科
通信工学専攻

「光ファイバ」と聞くとインターネットなどの通信を想像する人が大半だと思いますが、私たちの研究室では光ファイバを用いたレーザ治療・診断装置の開発をテーマに研究を行っています。紫外光から赤外光までの様々な光を使って、針を刺さない血糖値測定システムや苦しくない内視鏡などの実現を目指します。多くの患者さんが期待している分野です。実際に私たちの技術を用いた痛みの少ない歯科用レーザ治療器が製品化され、歯医者さんで使われています。

その光ファイバも化学的な方法で一から自分たちで製作し、一人一つのテーマと一台の実験装置が与えられるので、自分のペースで研究を進めることができます。また先生方も熱心に指導してくださるので、相談もしやすく恵まれた環境です。スポーツ大会やバーベキューなどのイベントも盛んに行っていて充実した日々を送っています。

K.Yさん
LABORATORY02

医工学で「がん」を治す!!
がんリンパ節転移の
新規診断・治療法の開発を目指して

R.Kさん
R.K さん 大学院医工学研究科
医工学専攻

現在私たち日本人は、3人に1人が「がん」で死亡します。がん患者の死亡の9割が転移に起因しますが、有効な転移治療法はいまだ確立していません。私たちの研究室では、乳がん、頭頸部がんで見られるリンパ節転移に焦点を絞り、世界に先駆けた研究成果の報告と臨床応用をおこなっています。最新のCTやMRI、超音波診断装置を生きたマウスに用いることで、リンパネットワークを介した新しい抗がん剤治療や早期診断指標の開発に挑戦しています。

研究室は東北大学病院の隣にあり、医師の方も在籍しています。1人1つのテーマを抱えるため、自分のペースで研究を進めることができます。先生や先輩方も熱心に指導してくださるので、生物学や医学の知識が最初はなくても安心です。工学を使って本格的な医学研究をおこなえることがこの研究室の魅力だと思います。

R.Kさん
LABORATORY03

工(テクノロジー)を医(リアルワールド)へ超音波を用いた医用イメージング

N.Tさん
N.T さん 大学院医工学研究科
医工学専攻

私たちの研究室では超音波、CT(コンピュータ断層法)、MRI(磁気共鳴画像)などの臨床データを基に心臓や血管などの3次元イメージングや自動組織診断、血液の流れの流体力学的解析などを行っています。さらに、既存の診断モダリティの解析だけでなく、医学・生物学用超音波顕微鏡や光音響顕微鏡などの新しいデバイスを開発し、様々な組織や生きた細胞のイメージングに挑戦しています。また、本研究室の先生が現役の医師でもあるので、工学的な面からだけでなく医学的な面からのアプローチ が可能です。実際の臨床の現場での声を研究に生かすことができます。研究室の雰囲気は和気あいあいとしており、それぞれの研究分野の学生たちが互いにサポートし合ったり意見交換を頻繁に行うため、非常に充実した研究室生活を送ることができます。

N.Tさん
LABORATORY04

半導体と生体素子の融合
新たなバイオデバイスの開発を目指して

M.Kさん
M.K さん 大学院医工学研究科
医工学専攻

半導体というと、電化製品の中にあるものと思う方も多いと思いますが、最近はこれまでにない新しい用途に半導体チップを使おうという動きが盛んです。私の研究室では薬の副作用を測るための半導体チップの研究を行っています。このチップが実用化されれば、より低コストで効率的な新薬の開発に役立つと考えています。また、半導体デバイスの技術を応用すると、脳の神経細胞のネットワーク構造を制御することができます。この技術を用いて、生きた神経細胞を用いた脳のモデルを作る研究も行っています。細胞を培養したりと、本学科の中でもバイオ寄りな研究ができる事が大きな特徴です。

研究室の人数は多くありませんが、その分先生方との距離が近く、すぐにアドバイスをいただける環境はとても魅力的です。また、全員の誕生日をお祝いしたり、合宿を行ったりと、仲良く充実した研究生活を送っています。

M.Kさん