●ご挨拶:西澤 潤一 同窓会会長 (岩手県立大学学長 名誉教授)


  西澤 潤一 同窓会会長 (岩手県立大学学長 名誉教授) 

 
 今度は方向を変えて、新めて再開することになりました。

 年を取ると昔のことを後輩に伝えていく義務があるように思います。

 産学協同で新しい産業を起こして産に貢献したのは、東北大学の伝統です。トーキン、東京刃物、東北特殊鋼、本山製作所は本田先生のお仕事で出来ていまして、東北大学と一緒にやってきました。八木先生もそうでした。最近の仙台の方でも知らない方もいる様ですが、産学協同の実を仙台でやってきたのは東北大学の大事な伝統です。 

 戦後では、東芝の基礎研究所であった松田研究所の所長から電気通信研究所の教授になった浜田先生も有効適切なアドバイスをしていました。

 昭和33年にスタンフォード・リサーチに行ったのですが、その当時、ベイエリアはまだミカン畑で戦後は荒れ放題でした。そこにターマン先生が通信工学のメッカを作ろうと宣言しました。卒業者のヒューレッドとパッカードを中心になって、SRIの周りがメッカになりました。その後、ショックレイがサンフランシスコに戻ってベイエリアにエレクトロニクスを作り、シリコンバレーになりました。 当時東北大学も対抗意識を持っていればベイエリアぐらいは出来たかもしれない。今思うと残念ですが、これから先は皆さんが協力して是非このような姿を実現して下さい。

 20年前の不景気の時期に企業からの研究費を受けたことがありました。不況の時に頂けたので驚きましたが、その時、重役さんは「不況時に自分たちが苦しむのは我々のしたことの結果だから自業自得で当然だが、若い人に及ぶのはよくない。今の研究費で大学が良い研究をしてくれれば、その恩恵は、今の若い人やこれから入社する人に役立つはずです。あなたのアイディアは良さそうなのでお金を出します。」とおっしゃっていました。

 最近は研究開発費がまず削られているようです。リストラも研究開発者からされるようです。20年前の重役さんのような方がいなくなったようです。それでは、今後の経済改革は難しいと思います。日本の場合、新産業を起こして、経済改革しかない。東北大にはいい伝統がありますので、よく配慮して頂いて、いい成果をどんどん揚げて頂きたい。

 大学競争時代になる。学生の身になって、現状を打開して下さい。 東北大学は仙台市のために、宮城県のために、働いてきた。自覚して、この地に新しい産業を起こして下さい。日本全体のために、世界のために、東北大学のもとに寄り集まって喧嘩をしながら議論をして良い成果を出して下さい。